東名バス事故。
対向車線から車が突然飛んできて、観光バスに正面衝突。
あの衝撃的な映像を初めて見たときには、
まるで自分が運転している車に衝突したかのような
錯覚を覚え、思わず目をつぶってしまった。
何とも恐ろしい光景である。
バスの運転手さん、咄嗟の判断で左にハンドルを切った。
抜群の反射神経。まさにプロである。
そのおかげで強度の増したフレームに相手の車が当たり、
けが人は出たものの、シートベルトの助けもあり、
乗客は全員無事であった。
このニュースを見て思った。
もし、あれがバスではなく、
自分が運転するであろう、ZiL522だったとしたら?
もちろん車内には、ちゃんとしたシートに、ベルトも装備してある。
走行中はもちろん全席シートベルトを着用しなければ違反になる。
しかし、だ。
巷で見かける走行中のキャブコンの車内の私の勝手なイメージは、
「ひょっとしたら、あのキャンピングカー、
車内で自由に歩き回ったり、寝転がったりしてるんじゃないのか?」
というように疑問が湧くのである。
例えば、高速SAでお昼ご飯を食べたとしよう。
お腹も落ち着き、そのまま休憩しているうちに子供が眠いと言い出した。
「後ろのベッドで寝ておきなさい」と私が言う。
「後ろのベッドはいやだ。上で寝たいよ~」と子供。
バンクベッドですね。
「仕方ないな~、じゃあ上で寝なさい」と私が渋々言う。
そして、子供がハシゴにヨイショ、ヨイショとよじ登り、
バンクベッドでお昼寝タイムとなった。
しばらく経っても子供は起きようともしない。
ん~、どうしたものか。
走るためには起こさないといけないし、
でも、せっかく寝ているところを起こすのも可哀そうだ。
このまま寝かしたまま、走るとするか…。
危ないことはわかっている。
でも事故に気をつけて安全運転で行こう。
そうだ!スピードを控えめにして、ゆっくり行けば大丈夫だ。
子供を起こさないように、ゆっくり、ゆっくり…。
前にトラックが走っている。こちらも遅いが、さらにもっと遅い。
仕方ない、抜かすか。
やがて走行車線から追い越し車線へ。
若干登っているのか、なかなか抜けない。
もう少しだ、がんばれ!(ディーゼルだから実際には案外すんなり抜いたりして。妄想中なので、あくまで抜けないという設定で)
と、その時、対向車線から突然車が飛んできた!
あっ!うわぁぁぁー。
咄嗟にハンドルを左に切る私。(ここはバスの運転手さんと一緒)
ガシャーン!
フロントガラスが一面に飛び散る。
目の前が真っ白になって、一瞬何が起きたのか想像できない。
やがて、ガードレールにFRPの車体をガリガリとこすりながら、
ようやく私のZiL522が停車する。
そうだ!子供は?子供は無事なのか?
粉々になったガラスの破片を払いながら、上を見上げると…
何もない!
たしか大人3人が余裕で寝られる(合ってますよね?)というバンクベッド。
それが、すっかり吹っ飛んでしまっているのだ。
子供は?どこに行ったんだ?
車外になんとか転がり落ちるように脱出した私は、
はるか後方にバラバラに吹き飛ばされたバンクベッドの破片を、
見るや否や、その場にガクンとひざまずくしかなかったのである。
~完~
この映像を見て誓いました。
納車された暁には、
走行中は絶対に、
きちんとシートベルトをします!させます!
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